プレーリードッグ

プレーリードッグの生態や野生での暮らし

近年、ブームが再燃しつつあるプレーリードックですが、「ペット」としての歴史はまだ浅く、知られていない事や解っていない事が多い現状です。

しかし、そんな彼らの野生下における暮らしぶりを知る事で少しでも日々の疑問や生態への理解を深めていただけたなら、より良い環境を提供する事が出来るはずです。

今回は知られざるプレーリードックの生態や野生下における暮らしぶりについて、まとめてみました!

野生のプレーリードックは何処に住んでいるの?

プレーリードックと呼ばれる彼らの仲間たちは全て北アメリカ西部に住んでいます。

メキシコ北部からカナダ南西部に至るまで最も広く分布しているのが「オグロプレーリードック」で生態数も一番多いです。

しかし1900年代初頭に約4億匹が住んでいるとされた地域では農作物への被害などから害獣として扱われ、長く駆除対象になっていました。

2000年代に入りようやく動物愛護の眼を向けられる頃には、既に全個体数の約98%が殺処分され5種類の内、2種類が絶滅危惧種に指定されるほど個体数が激減してしまったのです。

どんな風に暮らしていたの?

プレーリードックは独自の大規模な社会を築く優れた動物であり、普段は「コテリー」と呼ばれる最大で10匹ほどの家族で暮らしています。

1匹のオスと数匹のメスが共生する一夫多妻制で、子供たちは大人になるとオスのみ、コテリーを離れていきメスはコテリーに留まるのです。

コテリーの家族は非常に固い絆で結ばれていて、それぞれが見張り役や食料調達、子育て役など仕事を分担し仲良く暮らしています。

普段は縄張り意識が強く、コテリーでのみコミュニケーションを取り合っています。

しかし、見張り役から外敵の報せを告げる警戒音が聞こえると、幾つものコテリーが寄り集まった「ワード」という大きな組織で協力し合い外敵を排除または避難などを行いワード全体の安全に向けて行動します。

生涯の半分以上を地中で過ごす彼らの巣穴は長いもので30メートルにも達する穴を掘ります。

中には食料貯蔵庫や寝床だけでなく、方向転換する為の部屋や、外敵の侵入を予期して、わざと行き止まりを作るなど様々な工夫が凝らされています。

内部だけでなく、出口部分は土をマウンド型に固めて高くすることで視界確保や浸水を防いだりと生きるための知恵に溢れた暮らしをしているんです。

個体の持つ性格と獰猛な一面

一般的な霊長類や食肉目、齧歯目の動物などでよく見られる「子殺し」ですが、多くの動物が自身の繁殖効率を高めるために違うオスの子を殺すのに対し、プレーリードックは多くが自身の子供を殺します。

詳細な理由は解っていませんが、飼育下であれば環境により母親が育てていけないと判断した場合や病気、奇形など生まれ持った事由により育ちそうにない子を判断して殺しているようです。

また、野生下では縄張り争いなどで相手のコテリーに忍び寄り巣穴の出口を全て塞いで生き埋めにするなど攻撃的な性格も持ち合わせています。

性格は様々ですが基本的には温厚な個体が多く、普段は「コテリー」の家族同士で「キス」したりしてスキンシップを取り合う姿が印象的です。

日本にある動物園ではプレーリードックを飼育、展示している施設が多くあり、その殆どが自然な暮らしぶりを再現する形で展示しているため「絆」を大切にする彼らの日常が垣間見られることでしょう。

まとめ

人間と同じようにプレーリードックの性格も様々ですが、何よりも彼らに言えるのは「絆」の強さです。

姿や形が似ているリチャードソンジリスと比べても、時にはコテリーや種類の壁を越えて協力し合うのはプレーリードックの大きな特徴と言えます。

何よりも家族や仲間としての意識を非常に強く持ち、社会性に優れ普段から寄り添い合って生きてきた彼らですから、単独で飼育する場合にはアナタがその代わりとして「絆」を築くのです。

寂しい思いをさせてしまわないか、不安を感じさせていないか。

など彼らの住環境を整え、習性を深く理解する事でより良い関係を築いていける事でしょう。