くりくりしたビーズのような目がチャームポイントのハリネズミですが、その目の形ゆえに傷つきやすく、ウィークポイントでもあります。
ハリネズミのかわいい目を守るために、知っておきたいハリネズミの目の病気についてまとめました。
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ハリネズミの目の病気
ハリネズミの視力はあまり良くなく、色もわからないと考えられています。
眼窩という目を入れているくぼみがもともと浅く、正常でも目が飛び出し気味です。
そのため、ゴミが入りやすかったり、傷つきやすかったり、ときには完全に飛び出して飼い主さんをびっくりさせることも珍しくありません。
ここではそんなハリネズミの目の病気の症状や治療法について解説します。
眼球突出
片方または両方の目がもともとの位置より飛び出してしまった状態です。
ハリネズミの目は構造的に飛び出しやすく、眼球突出は良くみられます。
原因
高いところから落ちたり、何かにぶつかったりという外部からの力によって起こることもあれば、目の周囲にできた腫瘍に圧迫されたり、口の中の問題(腫瘍や炎症など)が原因になって起きることもあります。
肥満で目の下にたまった脂肪によって目が押し出されるケースもあります。
一方で原因が見当たらないことも珍しくありません。
症状
眼球突出が起きると、まぶたを閉じることができないので目が乾燥してとても傷つきやすくなり、角膜や結膜に炎症が起きて赤くなったり、角膜に穴が開いたり、ひどくなると目が破裂してしまうこともあります。
自分でかいて出血させてしまうこともあります。
診断方法
見た目で診断されますが、突出の原因を探るために超音波検査やレントゲン検査を行うことがあります。
治療方法
目がひどく傷ついていなければ、麻酔をかけてまぶたを縫い、強制的に目を閉じて回復を待ちます。
1週間程度で目が元通りの位置に落ち着いたら抜糸します。
肥満が原因の場合は、食事内容を見直すなどのダイエットをして再発を防ぎます。
飛び出した目が手で押しても元の位置に戻せなかったり、目がひどく変形したり破裂したりした場合や、腫瘍がある場合は、残念ですが手術で目を取り、瞼を閉じます。
結膜炎と角膜炎
黒目の周囲にある白目の部分を結膜、目の表面の透明な部分を角膜といいますが、ハリネズミの目はもともと飛び出ているため、これらの目の表面が傷つき、結膜炎や角膜炎を起こします。
原因
ゴミが目に入ったり、何かに目をぶつけたり、乾燥などが原因になります。
チップや砂などの床材が原因となることもあります。
症状
目が赤くなったり、涙が増えたり、目をしばしばしてまぶしそうにする症状が見られます。
結膜炎や角膜炎が続くと、目の表面に肉芽という肉のような組織が増殖して目の表面を覆ってしまうこともあります。
診断方法
結膜炎は白目が赤くなるので診断できますが、角膜は透明なために見た目で傷があるかわからないこともあります。
このようなときは眼科用の染色液を目に入れ、角膜の傷を染め出す検査を行います。
また、細菌感染が疑われるときは、滅菌した綿棒などで目を軽くこすり、それを培養して、どんな菌が感染しているか、どんな抗生物質が効果的かを調べる検査を行こともあります。
治療方法
治療は抗生物質や抗炎症剤の点眼を行います。
床材のダストが原因と思われるときは、ふるいでダストを取り除いてから使うようにするか、ダストの出ない床材(ペットシーツなど)に変更します。
白内障
ハリネズミにも白内障があり、目が白くなることがあります。
最初はごくわずかな白濁から始まり、徐々にはっきりと白くなっていき、最終的に視力を失うこともあります。
原因
原因のほとんどは加齢によるものですが、糖尿病や、ステロイドの長期使用、紫外線、熱、衝撃などによって起こることもあります。
このような酸化ストレスは、水晶体の中にあるたんぱく質を変性させて白く濁らせます。
イメージとしては卵の白身を過熱すると白く変化する、あの現象が目の中で起こる感じです。
いったん白くなったものは元には戻りません。水晶体はカメラでいうとレンズの役割を果たしているのですが、この部分が白くなるため視力が低下してしまいます。
診断方法
見た目で判断できますが、検眼器を使ってより詳細に水晶体の濁りを調べることもあります。
背景に糖尿病が疑われるときは、血液検査や尿検査で確認します。
治療方法
ステロイドの使用や糖尿病が背景にある場合は、その治療を行います。
人や犬の白内障の治療では、濁った水晶体を吸い出してかわりに人工レンズを入れる白内障手術を行うことができますが、残念ながらハリネズミではまだ現実的ではありません。点眼薬の効果も十分期待できるものではなく、白内障を完治させることはできないのが現状です。
視力が弱ってきたら、高いところに行かせない、ケージのレイアウトをがらっと変えないなどに気をつけてあげましょう。
見えないせいで急に触るとびっくりしやすくなるので、声がけをしてこちらの存在を知らせてから触るようにすると良いでしょう。
ハリネズミはもともと視覚には頼っておらず、嗅覚と聴覚を主に使っていますので、完全に目が見えなくなっても生活には大きな支障がないようです。
まとめ
デリケートなハリネズミの目ですが、ずっとつぶらな瞳でいられるよう、気をつけてあげられるといいですね。
眼球突出など緊急の病気は早く治療するとその後の回復も良いので、いざというときにすぐ駆け込めるように、かかりつけの獣医さんを探しておくと安心です。