ハリネズミ

[獣医師監修]ハリネズミの病気11種類についてまとめてみた!

ペットとして人気上昇中のハリネズミ。ハリネズミと触れ合えるカフェもできたり、着々とファンを増やしていますね。

ハリネズミの寿命は3~5年と言われていますが、医療の進歩でもっと長生きする子も増えてきました。

かわいいハリネズミと一緒に長く暮らしていくために、知っておきたいハリネズミの病気についてまとめてみました。

ハリネズミの病気11種類についてまとめてみた!

ペットとしての歴史が浅く、生態がまだよくわかっていないハリネズミですが、かかりやすい病気が段々とわかってきました。中には知ることで予防できる病気もあります。

よくみられる病気から順に解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

注:日本で主に飼育されているヨツユビハリネズミについて解説します

皮膚病

ハリネズミの病気でいちばん多いのは皮膚病で、動物病院を受診するハリネズミの約半数は皮膚病というデータもあります

特にペットショップからお迎えしたばかりの子どものハリネズミは皮膚病を持っていることが多く、人にうつることもあるので注意が必要です。

皮膚病の原因として一番多いのがヒゼンダニ類のダニの感染です。顕微鏡でないと見えないくらい小さいダニなのですが、皮膚にトンネルを掘って入り込むため皮膚へのダメージは大きく、強いかゆみや、フケが増える、かさぶたができる、針が抜けるなどの症状が見られます。

真菌(カビ)や細菌感染、アレルギーによる皮膚病も見られます。症状は一見どれも似ているのですがそれぞれ治療法が違うので、検査をして原因を突き止めてから治療を開始します。

皮膚病の詳しい症状、診断方法、治療方法はこちらの記事から

肺炎

皮膚病に次いでよく見られるのが肺炎などの呼吸器の感染症です。もともとは温暖で乾燥した土地で暮らすハリネズミは暑さ寒さに弱く、湿気も苦手です。

四季のある日本でハリネズミに合う環境を整えるのはなかなか大変で、細菌やウイルスが呼吸器に感染しやすくなります。また敷材から出るダストを吸い込むことが原因になることもあります。

くしゃみや鼻水などの風邪のような症状からはじまり、ひどくなると呼吸が苦しくなって食欲が落ち、徐々に痩せてきます。

呼吸器関連の病気の詳しい症状、診断方法、治療方法はこちらの記事から

下痢症

下痢はペットショップから購入直後の子どものハリネズミによく見られます。

ペレットを食べているハリネズミの正常な便はコロっとした茶色なのですが、下痢になると水っぽくなって色も緑色になったり、血便が出ることも。

原因としては、ストレス、寒さや暑さ、不適切な食事、サルモネラやカンジダの感染などがあります。高齢のハリネズミの下痢は、内臓の病気や腫瘍が原因のこともあります。

下痢の詳しい症状、診断方法、治療方法はこちらの記事から

歯周病

野生のハリネズミは昆虫を食べるから歯がきれいという説もありますが、飼育下だとやわらかくて糖分の多い食事になりがちで、歯磨きもできないハリネズミは高齢になるにつれ歯周病が増えます。

歯石がついて歯茎が赤く腫れ、口臭が強くなって膿混じりのよだれが出ることもあります。ひどくなると出血したり、歯が抜けたりします。

痛みから食べるのに時間がかかったり、十分な栄養が取れなくて痩せてきてしまうこともあります。また歯周病だと思っていたら実は口の中に腫瘍ができていたというケースもあります。

歯周病・口の腫瘍の詳しい症状、診断方法、治療方法はこちらの記事から

腫瘍

ハリネズミは腫瘍の発生率が高く、口の中にできる扁平上皮癌や、おっぱいのところにできる乳腺腫瘍、リンパ節が腫れるリンパ腫、体の表面にできる肥満細胞腫や乳頭腫、組織肉腫などが見られます。

お腹の中にも腫瘍ができることがあります。体の表面にできたしこりであっても、針でおおわれているため早期発見が難しくなります。

様々な腫瘍詳しいについての詳しい診断方法、治療方法はこちらの記事から

子宮や卵巣の病気

突然血尿が出たり、陰部から出血して気づくことが多い子宮や卵巣の病気ですが、実はその前からそういえば元気が無かった、やせてきていた、ということが多いです。

卵巣や子宮の炎症や腫瘍が原因で、お薬で治すことは難しく、手術が必要になることがほとんどです。

メスの生殖器の病気についての詳しい症状、診断方法、治療方法はこちらの記事から

肥満による脂肪肝

野生ではかなりの範囲を歩き回って食べ物を探すハリネズミですが、飼育下ではそうもいかず、運動不足とカロリー過多で肥満になりがちです。

太りすぎて丸まることができないなんてことも。脂肪は皮下だけでなく肝臓にもたまって脂肪肝となり、肝臓の動きを悪くします。

無症状のこともありますが、ひどくなると食欲が落ちてやせてきたり、下痢が続いたり、黄疸が出たりします。

外傷

ハリネズミの健康のためにも室内を運動させるのは良いことなのですが、ケージの外は危険がいっぱい。

踏んでしまった、落としてしまった、ドアに挟んでしまったなど思わぬことが起きることがあります。

軽い怪我で済むものから、骨折やときには内臓損傷で命にかかわるものまで様々です。

ケージの中でも金網に手足を挟んだり、タオルなどの線維が絡んでしまうなどの事故が起きることがあります。

目の病気

ハリネズミは目をおさめているくぼみが浅く、正常でも目が飛び出し気味です。このため、目が乾燥しやすかったり、ゴミが入りやすく、結膜炎や角膜炎を起こすことがあります。

目やにが出ていないか普段から気をつけてみてあげましょう。落下や外傷などの衝撃、肥満や口の病気などで眼球突出しやすいことも知られています。

また高齢になるとハリネズミも白内障になることがあります。もともと視力は弱く、視覚よりも聴覚や嗅覚に頼っているので、視力が落ちてもそれまでとあまり変わらない生活を送ります。

目の病気についての詳しい症状、診断方法、治療方法はこちらの記事から

腸内異物

異物の誤食は好奇心旺盛な子どものハリネズミで起きることがあります。

敷材や布、紐、プラスチックなどを誤って食べてしまい、腸が傷ついたり、腸閉塞を起こしたりします。

食べたものによって症状は様々で、血便や黒色便、便秘など排便に異常が出ることが多いです。

軽い食欲不振の後自力で異物を排泄できるケースもあれば、完全閉塞ではひどい嘔吐でご飯が全く食べられずぐったりしてしまい、手術で異物を取り出さなければならないこともあります。

ハリネズミのふらつき症候群

正式には脱髄性麻痺(WBS:Wobby Hedgehog Syndrome)というハリネズミに特有の神経の病気で、全身が徐々に麻痺していきます。

震える、丸まりずらくなった、歩き方がふらつくということで気づかれることが多いようです。

麻痺は後ろ足からはじまり、徐々に前足に及びます。

ゆっくり進行して最終的には全身の筋肉が萎縮して寝たきりになり、自力で食べたり排泄することが難しくなっていきます。

残念ながら原因は不明で治療法はなく、本人が快適に暮らせるようなケアが中心になります。

症状が出てから2年以内に亡くなることが多いと言われています。

ふらつき症候群についての詳しい症状、診断方法、治療方法はこちらの記事から

まとめ

ハリネズミを飼う方が増えたために病気についての情報も蓄積され、少し前までは手探りだったハリネズミの診察もだいぶ充実してきました。とはいえまだすべての病院がハリネズミの診察を行っているわけではありません。ハリネズミを家族に迎えたら、いざというときに慌てないように、健康なうちからかかりつけのお医者さんを探しておけるといいですね。