ハリネズミを飼って初めてアンティング見た方は、さぞ驚かれることでしょう。
そもそもアンティングとは何か?なぜそのような行動を取るのか?
今回はハリネズミに代表される謎の行動の1つ「アンティング」についてまとめてみました。
Contents
ハリネズミのアンティングって何?なんでそんなことするの?
アンティングとは
アンティングとは、知らないものの臭いを初めて嗅いだときに、それを舐めたりかじったりして口の中の唾液と混ぜ合わせ、泡状となった唾液を自分の舌を使って背中やわき腹の針に塗り付ける行為のことです。(泡付け、唾液塗り、香油塗りとも呼ばれます。)
まるで見返り美人になったかのように体を思いきり横にひねり、普段の可愛らしさとは違う何とも言えない表情でひたすら自分の針に泡を塗りたくります。
この時のバランスが取り辛そうなコロコロした姿はとっても可愛らしいですが、表情を見てギャップに驚き。個体差はありますが、中には般若のような険しい表情を浮かべる子も(笑)
ハリネズミ飼いたてで初めてアンティングを見る人は
「めちゃくちゃ背中かゆがってる!?」
「うちの子がおかしくなった!!」
「なにか変なもの食べちゃった!?」
と不可解な行動に驚きを隠せないと思いますが、これはハリネズミにとって異常な行動でも病気でもないごく日常的な行為なので、ご安心ください。
「うちの子がアンティングしてるのを見たことがないのですが、何か異常なのでしょうか…?」
と不安に思われてる方もご安心を。
アンティングはハリネズミにとって日常的な行為ですが、中にはアンティングをやらない子もいます。
動物の中にはブラッシングが好きな子と、そうでない子がいますよね。それと同じように、アンティングをしない(好まない)子がいるのも、ごく普通のことです。
なぜこのような行動をとるのか
ハリネズミがなぜアンティングをするのか、はっきりとした理由はまだ分かっていません。
現在考えられる仮説を大きく5つに分けてご紹介します。
①敵から身を守るため
周囲にあるものと同じ匂いをつけることで自分の臭いを消し、これから遭遇するかもしれない敵から身を守るため。
ハリネズミは警戒心が非常に強い動物ですから、現在ではこの説がもっとも有力とされています。
②繁殖相手を引き寄せるため
いわゆる「求愛行動」です。
様々な意見がありますが、メスのハリネズミよりオスのハリネズミの方が多くアンティングをしているという声があり、繁殖するためにオスがメスに自分の存在をアピールしている。という説もあります。
普通の唾液より、泡状の唾液の方が長く臭いが続いてアピールしやすいのでしょうか?何はともあれ、斬新なアピール方法ですね。
③毒の耐性をつくるため
ハリネズミは毒性の生き物を食べることがあります。その際に毒が自分に回らないように先にその生き物を噛んで、泡状の唾液と混ぜ合わせ自分の体に塗り、耐性を作るとも言われています。
実際には、ヒキガエルを噛んでアンティングをしているハリネズミが確認されていますので、信憑性がありますね。
また、この泡は毒素に対する消毒になるとも言われています。
④体温調節の為
ハリネズミは温度の変化にとても敏感な動物です。20℃を下回ると冬眠、30℃を超えると夏眠に入ってしまいます。これはハリネズミにとって、命にかかわることです。
なので自ら唾液を塗り付けることで体の温度を下げ、夏眠に入らないように体温を調節しているのではないか。という説もあります。
アンティングによって体温が下がっているのかは定かではありませんが、自分の身を守るための行為であることは間違いないと思われます。
⑤グルーミング
ご存知の通り、ハリネズミの背中は針で覆われており、他の動物と違い舌だけを使ってグルーミングすることが難しいです。
なので唾液を液状にすることで針の奥の皮膚に近いところまで綺麗にしようとしているのではないか?という説があります。
人間でいうシャンプーみたいなものでしょうか。
どんな時にアンティングをするの?
新しく購入した玩具や、初めて食べるご飯、初めて触れ合う人など、とにかく初めて嗅ぐ臭いをきっかけにこの行動をとります。
今まで使っていた玩具やエサ入れなどでも、きれいに洗った後に別の臭いがついた場合など、新品の物の臭いを嗅いだ時と同様にアンティングをすることがあります。
ちなみに、口の中で作られる泡は、臭いのもとであるものとある程度同じ色をしています。
なぜそうなるのかは、これもはっきりと分かっていません。
まとめ
今回はハリネズミの謎行動「アンティング」についてまとめてみました。
アンティングをする理由を探ってみると、病気になったのではと不安に思うこともなくなりますね。
むしろ自分の身を守る行為なんだ!と思うと、愛おしく思えます。
様々な環境変化に敏感なハリネズミ。どうか優しい目で見守ってあげてくださいね。