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日本で野生化する外来動物キョンの生態

日本にはキョンという動物が生息しています。

キョンとは小型のシカです。

もともと日本にいなかった動物です。

今では日本でも野生で見ることができるようになりました。

今回は、キョンの生態と野生化の弊害についてまとめました。

キョンの生態

まずはキョンの生態からみていきましょう。

キョンという名前が可愛いですね!

キョンとはどんな動物?

キョンは日本のシカのような動物です。

分類は、哺乳網鯨偶蹄目シカ科ホエジカ属です。

体長は70~100cm、体重は10~18kgです。

ホンシュウジカの体長は110cm~170cm、体重は25~130kgです。

簡単に想像するシカよりキョンはとても小さいですね!

キョンの名前の由来

「羌」を中国語で読んだキョンが名前の由来です。

キョンは別名「四目鹿」という呼び名を持ちます。

四目鹿と呼ばれる理由は目が四つに見えるからです。

キョンは、目の下に臭腺(眼下腺)の開口部を持ちます。

臭腺がつぶった目のように見えることから四目鹿と呼ばれています。

キョンの生息地

キョンの生息地は中国南東部や台湾です。

ベルクマンの法則に、「恒温動物において、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」というものがあります。

鹿の大きさはキョン<ホンシュウジカ<エゾシカの順に大きくなっています。

興味深いですね!

キョンの鳴き声

キョンの鳴き声を例えると、

・犬の遠吠え

・人間が苦しみながら叫んでいる声

に聞こえます。

「ギャーオ!ウォー!」

あまりかわいくない鳴き声です。

キョンの活動時間は夜です。

薄暗い夕方に聞くと不気味に感じます。

キョンの天敵

キョンの天敵はオオカミやクマです。

日本にはオオカミは生息していませんし、クマの頭数も多くはありません。

キョンにとって日本は繁殖天国になっています。

キョンは日本に定着している?

キョンは日本に定着してしまっています。

その理由と被害状況についてまとめました。

八丈島のきょん!で定着した?

漫画「がきデカ」という漫画で登場するギャグです。

1974年あたりに連載されていた漫画です。

八丈島には、キョングッズがたくさんお土産として販売されています。

しかし、野生のキョンがいるというわけではなく、八丈島のキョンはきちんと飼育されています。

なぜ日本に定着した?

キョンが日本に定着した理由は3つあります。

・天敵がいない

キョンの天敵となるオオカミやクマがほとんどいません。

食べられることがないので繁殖し放題です。

・気候が住みやすい

元々の生息地の気候と、日本の気候はほぼ同じです。

キョンの食性も日本に適しています。

キョンは草食動物で、日本にはエサとなる草や木がたくさんあります。

・繁殖力が強い

キョンは1年中繁殖可能です。

妊娠期間は7ヶ月と長めです。

しかし、メスが繁殖可能になる月齢が6ヶ月と短いです。

そのため、繁殖サイクルが早く、駆除が追いつきません。

10年で10倍以上増加しているのはこの繁殖力が原因です。

キョンが繁殖している地域はどこ?

キョンが繁殖している地域は千葉県と伊豆大島です。

千葉での被害状況

千葉県勝浦市にあった観光施設で飼育されていたキョンが逃げ出して野生化したのが大量発生の原因です。

平成14年には約1000頭、平成30年で5万頭ほど生息しています。

生息数に対し、捕獲数は年間2400頭。

キョンによって大豆農家やハーブ、ブルーベリー農家などが被害にあっています。

千葉県における農業被害は年間約100万円になります。

伊豆大島での繁殖被害状況

令和元年時点約2万頭生息しています。

島民より多くのキョンが生息しています。

伊豆大島では特産品のアシタバなどが食べられ、年間約300万円の被害が出ています。

農業被害以外にも、キョンとの交通事故、キョンが運ぶヤマビルによる吸血被害などがあります。

日本で進むキョンの駆除

日本では2005年に特定外来生物に指定され、駆除対象になりました。

キョンを駆除、捕獲することは簡単ではありません。

狩猟で仕留めるには小さく、警戒心が強いので箱罠には入らない。

では、どのように駆除するのでしょうか?

キョンの駆除方法は?

キョンの駆除は、くくり罠を用いて捕獲することがメインです。

くくり罠とはキョンがよく通る場所や餌場にワイヤーなどを設置し、通過すると締まるような仕組みの罠です。

駆除したキョンは食用にされたり、加工品にされたりすることがあります。

キョンの肉は食用に!

キョンに肉はクセがなく、日本の鹿より美味しいとされています。

ステーキからシチューまで、いろいろな料理にして食べることができます。

駆除の効率化と流通ルートが整えば、ジビエ料理として人気になること間違いなしです!

キョンの革はセーム革に!

キョンの革はとても柔らかく、きめ細やかな質感をしています。

生息地の台湾では赤ちゃんの用品に加工して使われているほど良質な素材です。

シカ、ヤギ、ヒツジなどの革をなめしたものをセーム革といいます。

その中でも、キョンの革は高級品です。

まとめ

人間の管理不足のせいで増えてしまい、しまいには駆除の対象となってしまうキョンが少しかわいそうです。

ペットとして飼育している動物の管理をちゃんとして逃げ出さないようにしましょう!