チンチラ

チンチラの野生種ってどんな動物?生息地から生態まで

「チンチラ」と聞くと、何が思い浮かびますか?

猫の「チンチラ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?それとも、最高級の毛皮のことでしょうか?

チンチラは、実はネズミと同じく、げっ歯類の仲間です。

猫のチンチラは、ペルシャのカラーの一種で、ネズミの仲間であるチンチラとは全くの別ものなんです。

ここでは、げっ歯類のチンチラについてどんな動物なのかを、野生種の生息地や生態から紐解いていきます。

チンチラの野生種ってどんな動物?

げっ歯目チンチラ科チンチラ属に分類されます。

ハムスターなどに比べて大きめで、体重は400~600gです。

美しい光沢感を持ち、最高級の毛皮として知られる被毛が、一番の特徴です。

ペルシャ猫のカラーの一種である「チンチラ」は、チンチラの被毛の色に似ていることから、そう呼ばれるようになりました。

野生のチンチラには毛皮を目的とした乱獲が行われた歴史があり、現在も絶滅の危機に瀕しています。

そのため、絶滅危惧種として、ワシントン条約で野生のチンチラの取引が禁止されています。

ちなみに、ウサギにも「チンチラ」という品種があります。

これは、チンチラのようなグレーの被毛になるように品種改良された毛皮用のウサギです。

画像を見ると、姿もどことなく似ています。

野生のチンチラは3種

  • タンビチンチラ
  • コスチナチンチラ
  • オナガチンチラ

という3種がいます。

現在ペットとしては、主にオナガチンチラが飼育されています。

タンビチンチラ

その名の通り短いしっぽと耳を持っています。これは、凍ってしまうことを予防するためです。

体は大きく、毛色はやや茶色がかっています。

他の2種に比べて、大人しい性格です。

コスチナチンチラ

耳としっぽは長く、鼻の頭と体型は尖った感じです。

野生下では、やや湿度の高い場所で暮らしています。

オナガチンチラ

コスチナチンチラより大きく、耳や鼻はより短く、広い頭をしています。

ライトグレーやダークグレーのほか、白やシルバー、黒、ベージュ、ブラウン、バイトなど様々なカラーがあります。

野生のチンチラの生息地はチリ

チンチラは、南米アンデス山脈の標高が高く冷涼な地域に生息しています。

現在はチリの北部にのみ生息している固有種ですが、歴史的にはペルーやアルゼンチン、ボリビアなどにもいました。

名前は南米のチャンチャ族に由来し、スペイン語で「小さなチャンチャ人」「虫けらっこ」という意味合いがあるそうです。

野生のチンチラは、その被毛の美しさから乱獲が行われ、1900年代初頭には絶滅の危機にさらされました。

チリでは国による保護が行われていますが、数千頭が保護区の一部に残っているだけの非常に貴重な動物なんです。

現在、飼育されているチンチラは、20世紀の初めに、1人の鉱山技師がアメリカに連れてきた13頭を祖先としています。

野生のチンチラの生態

チンチラは、-15℃~-20℃と寒冷で、降雨量が少ないため湿度が0%に近い場所に生息しています。

このため、耳以外は細くてしなやかな2~3cmの毛が高い密度で生えています。

厚い毛皮のコートを作って、寒さに耐えているんですね。

寒さと乾燥に強い分、高温多湿には適応できません。

野生では、12~100頭の群れで暮らし、岩の間をトンネル状の巣として利用しています。1つの巣穴には、2~5家族が生活しています。

基本的に夜行性で、昼間は巣穴の中で休んでいて夕方になると地上に出てきます。昼間に行動することもあるようです。

野生下では、主に、草や、低木の樹皮・根、サボテンの根・葉などを食べています。水の少ない土地で生活しているため、飲み水は雪解け水や岩についた結露です。

野生ではもっぱら食べられる側の動物であるため、とても臆病で怖がりです。

野生での寿命は、約10年です。

飼育下では平均寿命は10~15年となり、ペットの中では長生きする方と言えます。

20年以上生きることもあるので、犬よりも長生きするかもしれません。

皮膚からたくさん分泌される脂のような「ラノリン」が、細い被毛がもつれるのを防いでいます。

ゴミや余分なラノリンは毛皮が固まってしまう原因になるので、野生下では火山灰で砂浴びをして取り除いています。

飼育する場合にも、1~2日に1回の砂浴びが必要です。

チンチラの性質や特徴

チンチラは知能が高く、好奇心が旺盛です。

いたずら好きで人懐こい面もあって、1頭だけで飼うととてもよく慣れます。

自分の名前を覚えることができ、信頼関係が築かれれば抱っこもできます。

一方、非常に臆病でストレスに弱く、神経性のショックが原因で死ぬこともあります。

視力はあまりよくないのですが、耳はとてもよく、野生下では鳴き声でお互いにコミュニケーションを取ることもあります。

しかし、基本的には声は大きくなく、飼いやすいでしょう。

前足は短く後ろ足が長いので、垂直に1mくらいジャンプできます。

また、高いところによじ登ることもあり、とても運動能力が高いです。

前足も後ろ足も指は4本ですが、前足には2つの発達した「偽指」があります。

これを親指代わりにして物をつかむことができ、野生ではこの偽指で岩場に生えた草の茎などをたぐり寄せて食べています。

まとめ

チンチラの野生種がどんな動物なのか、ご紹介してきました。

最高級の毛皮を取るために乱獲され、野生では絶滅寸前のチンチラですが、近年、ペットとして人気が出てきています。

チンチラを飼いたいと考えている方は、この記事も参考に、生態や性質をよく理解してからお迎えしてくださいね。